夢なごり~君の声に呼ばれて~
「いや、俺が連れて行く」
俺は舞咲を背中におぶると、歩き出した。
すると、また後ろから笑い声がした。
だから、何なんだよ!?
俺は盛大に溜息を吐いた。
「んっ…」
舞咲は小さく身じろぐと、俺の羽織をしっかり握って来た。
いきなりのことに俺は一度歩く足を止めた。
でも、その仕種は幼子のようでとても愛らしかった。
「ご苦労だったな、舞咲」
俺は眠る舞咲にそう言うと、背負い直し、再び歩き出した。
…後ろからついて来る近藤さんと原田がニヤニヤしているのは気付かないことにしておこう。