空色通信
第一話
青く澄んだ海に白い砂浜

穂村香奈は毎年見るこの風景が宝物だった

カタタンカタタンと揺れる一本の人の少ない列車の中に香奈はいた

小さいころはこの揺れの気持ちよさにいつのまにか寝てしまったことも多い

都会よりも田舎が好きな香奈にとって、この町、祖母の住む町は夢のような場所だ

今日からここに住むことになった。これこそ夢のようだ。嫌なことなどない


ただ・・・一人なのが怖い

去年まで隣に座っていた父と母はもういないのだ


「・・・いつまでもぐだぐだと・・・なにやってんの私」

そう言って気合いを入れるため頬をパンっと叩く

思いのほか強く叩いてしまいじーんと痛みが走る

「いたた・・・」


「バカみてーだな」

「はっ?」
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