空色通信

「あーもうっ俺どんだけ探したかわかってんのかよ!」

ふんわりした髪をガシガシとかいてシンと呼ばれた男子は香奈の方を向き、困ったような笑みを浮かべ、言った

「ほんとに、ごめんね。じゃ」

ばたばたとあわただしい足音が消えるともとのシーンとした車両に心地いい揺れが戻った

しばらく口を開けてぼーっとしているとさっき言われたことがフッと頭をよぎった

『バカみてーだな』

『アホみたいな顔してる』

ふつふつと香奈の心の中で怒りがわく

「なんなのあいつ・・・」

このとき香奈の心には怒りしかなかった

顔も思い出せない。ただ、その言葉にエコーがかかり香奈の苛立ちを倍増させるのだった
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