由良さんが呼んでますので





「・・・・・はい」

「ありがとう、細木くん」




ふわりと花が舞うような笑顔でお礼を言われた


その姿にキュンとするんじゃなくて、嫌な予感から胸がぎゅっとなるのは、何でだろう




苦しいな、ちょっと切ないかもしれない。ああ、俺、教室の真ん中で泣いちゃうかも



ヤダヤダ!みっともない。また由良さんに怒られちゃう。それにカッコ悪いし、こんな俺をちゃんと見てくれる人なんて由良さん以外にいない


弱っちぃ俺なんて認めて、くれない。細木律香だと認めてくれるわけがない




「・・・・・何を悩んでいるんですか?」

「何も、無いよ」

「嘘吐きとは絶交すんぞ」

「・・・・由良さん、大好き。俺以外の友達、作らないでね」



困らせるようなことを言ったと、分かっている。それでも優しい彼女は、



「・・・・ええ」



またあの笑顔で、笑ってくれる



そうして微笑んでくれたときに俺はふと気付くのだ。ああ、馬鹿なことしたなあって




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