由良さんが呼んでますので
いくらなんでも彼女を独り占めするような真似、してはいけない
そんな束縛は、絶対彼女にとっても俺にとっても良くないことなのだ
でも、俺は彼女には俺以外と居て欲しくない。俺にだけ、向けて欲しい。俺だって彼女以外いないのだから
「あ、あの由良さん」
「な「由良さんは俺と話してて忙しいから俺が聞くけど何」」
何でか分からないけど他の人とも話して欲しくなくて、思わず彼女の言葉を遮った
「え、え」
「桜木さんごめんね。細木くん、私細木くんの横暴なトコロが嫌いです。嫌なトコロを改めない人とは絶交しますよ」
「・・・・・っ」
彼女は、ずるい
「・・・・桜木さん、ごめんなさい」
「あ・・・・いえいえ?」
「いい子。それで、用件は何でしょうか」
俺が彼女に逆らえないのを知って、彼女は俺に“お願い”をするのだ
俺の頭をいい子いい子と撫でてくれる手が、いつまでも続けばいいのに、何て馬鹿みたいなことを思った
「だから、よろしくお願いします」
「分かりました。放課後、提出いたしますね」
無表情で言葉を紡ぐ彼女は綺麗だ
でも、俺は知っている
あの女の子が彼女に背中を向けた瞬間、彼女が泣きそうな顔をしたことを