由良さんが呼んでますので
それでも、俺は1つだけ知っている
あの日、彼女は言ったから
『そのかわり、私から離れないで下さい。居なく、ならないで。どんなときでも、一緒にいて』
小さな子供が懇願するかのように、俺に向かって条件を言ってきた。その身体は震えていて、足じゃなくて身体ごと抱きしめてあげればよかったのにと今は後悔をしている
彼女には、友達なんていないのだ
ましてや親しい人間なんて。いつも寂しそうにポツンと、教室に隅に座っている
綺麗な彼女には声を掛けられないと、みんな思っているからだ。それに彼女も
表ではひっそりと1人だけでいたいと考えているから
あんなこと言って、ごめんね
クールだなんて言われている彼女は、ただの不器用で
「細木くん、どうしました?」
「・・・・・教室、視線がウザい」
俺を見る瞳じゃなくて、彼女を見る瞳が、ウザい。そんなことしないであげて。繊細な彼女はそれだけで、傷ついてしまうから
「それでは、一緒にサボりますか?」
「い、いの?」
「ええ。細木くんの為ですから」
ただ、感情の表し方が分からないから無表情でいるだけで。本当はこんなにまで素直で可愛いのに