由良さんが呼んでますので






遠巻きに、眺めないであげてよ


彼女が、壊れちゃうよ




矛盾した感情を胸に、あまり荷物の入っていない鞄を肩にかけ、彼女と共に席を立った



「では細木くん、行きましょうか」

「はいっ」



それなのにも関わらず彼女に必要とされるだけで、俺は満足なのだ








+++++++++++++++






初めて、かもしれない




「由良さん、荷物持ちます」

「え、いいですよ」

「持ちたいんです。持たせて下さい」




あ、そう。ハイハイどうぞ



何故か真剣な表情をして下僕発言をした彼。投げやりな答えと共に肩に掛けていた鞄を細木くんに渡した



「わ、わ!!重たっ」

「ならいいですよ。やはり、自分で持ちます」

「あ、違いますって!普通の女の子が持ち歩く重さじゃないって言いたいんです!」



確かにそうだと思う


だって、彼の鞄なんて紙一枚も入って無いんじゃないの?と言いたいほど軽いのだから。まあ、当然の反応だわ



「由良さんは持たなくていいですからね!女の子なんだから」



オマエがソレを言うのか



天然な彼を見ていると、何故だかツッコミを入れたくなるときが多い



嫌に私の言うことに従順な彼を見て、何から出たのかしらない溜息が、口からするりと抜けだした




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