由良さんが呼んでますので





由良さんは中々俺に感情を言葉で伝えてくれないから、こうして素直に彼女が口にするとき、どうしてもストレートすぎてキュンとしてしまう



この前見た少女漫画よりも、メロドラマよりも心臓がぎゅーってして、何だか切ない。ああ、でも泣かないよ



俺、何でこんなに由良さんが大好きなんだろう。どうしてだろう。初めてできた大切な人に、他の人間が隣にいると、とても苦しくなる。ああ、俺って勝手だ


どうしよう




感情が、抑えられないかもしれない



「・・・・・ソウマ、由良さんから離れろ」

「あ。気づいた?凄いね、俺今日髪染めて無いのに」

「害虫には気づく」

「ひっどおい戦友なのにぃ」



ケラケラと笑いながら、いつの間にか由良さんの手を取っている男に、酷く嫉妬する。だって、そこは俺だけの位置なのに



「え・・・・・細木くんと持田くん、お友達ですか?」

「そうだよ。不良さん同士一緒に喧嘩することがあるのだ」

「違う。俺の友達は由良さんだけだ」

「・・・・・どちらですか」




彼女から放たれる、アイツとの親しげな会話も、俺を煽る材料でしか無くて


ああ、由良さんの前ではキレたくないのに。彼女の前では素の自分で、なるべく怖い思いをさせたくないのに。なのに、どうして上手くいかない



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