由良さんが呼んでますので
「わ、たしに用事でもあるんですか?」
問い掛ける私の頬は、いつも通り無表情なはずなのに、口の端が引き吊っている。どうもこの人は苦手だ。私に無いモノを、諦めていたモノを簡単に差し出してくる人だから
眩しくて、苦しくて、苦手だ。何故か直感的にそう感じた
「ん?・・・・ああ、あった。細木律香の件だわ」
「え、細木くん?!!!」
さ、細木くんは一体何をしたんだ!この電波男に
思わず目を瞠りながら目の前の人物を凝視する。そういえば、細木くんは不良だった。忘れてたけれど、彼は冷酷非道な、細木律香なのだ
私の傍でにこにこと嬉しそうにしているのではなく、ただ、私の嫌いな血を浴びて、なおのこと笑って人を殴る
私の嫌いな、不良なのだ
「ちょっと細木に用事があるから、最近一緒にいる女ってのに接触しようと思ってたんだ」
「・・・・・生憎ですが、私は細木くんとは男女関係があるわけではありません。私達は、」
わたし、たちは
言いかけて、言葉を止めた。私と細木くんの関係は、何なんだろうか。友達、だと私は思っている
だけど、彼はどうだろう
あんなことした私を、友達だなんて思ってくれるの?
──────一瞬でも嫌悪してしまった私を、嫌わないで居てくれるの?
そんな保証、何処にも無いのに。だからこそ、酷く泣きたくなる。大切で、大好きな細木くん
可愛くて、私を1番に置いてて、少し神聖視と依存気味な彼が、大好きなのに