執事ちゃんの恋
「だけど、私はヒナタが言うであろうことや行動を思い出してやっただけよ?」
「……」
「ってか、ヒナタならもっとすごいこと言うだろうし、やるでしょ?」
「……」
「ジュテームとか、ヒナタなら間違いなく言っていそうだけど……さすがにそれはやめておいたわよ」
「……」
「ヒナタなら、歯が浮きそうな甘い言葉散々言うでしょ?」
それはしなかった、エライでしょ、と胸を張るヒヨリにヒナタは頭を抱えた。
どうやら、ヒヨリの言っていることの大部分は納得せざるを得なかったのだろう。
ヒナタは、あははと力なく笑った。
「それより、本当どうするのよ? ヒナタ」
「どうするって言われても……なぁ?」
「ってか、私に聞かれても困るし」
「困るったって、ヒヨリがいけないんだろうが」
「わ、私!?」
思わず大声で叫びそうになるのをグッと我慢して、なんとか声を抑えたヒヨリは、ヒナタをジトッと見た。
「とにかく、コウさまが恋したのは間違いなくヒヨリなんだから」
「そ、そりゃあ……そうかもしれないけど」
ブツブツと異論を唱えるヒヨリに、ヒナタは容赦なくピシャリといいのけた。
「間違いなく偽ヒナタに、だろう?」
「う、うん……」
それを言われると何も言えない、と呟くヒヨリをヒナタがチラリと見たあと、コウを見て大きくため息をついた。