おおかみ男の娘
そして放課後になった。
僕は椿ちゃんと弓道部に見学に行った。
どうやら弓道は体育館のとなりに
ある小さな部屋で行われているようだ。
「あっ…彩ちゃんだ!!」
椿ちゃんが桐生院さんを見つけて
ニッコリと微笑んだ。
そんな中、聞こえてきたのは…
「清水さん、少し腰がねじれてます。足踏みの線と平行をしっかり意識して。」
「はっ…はいっ!!」
「もっと力をいれて!!」
「はいっ!!」
部活動って厳しいんだな…。
それにしても桐生院さん、凄いなぁ。
少しのズレも許さない。
部活をまとめる存在なんだ…。
「ねぇ、嬉龍くん!!私ここにいるの嫌だ!!」
「へっ…!?」
急に機嫌が悪くなった椿ちゃんはタッと
弓道部の練習部屋から出ていった。
「えっ…ちょっと椿ちゃん!?」
僕も後に続いて彼女を追いかけた。
すると椿ちゃんは…
「桐生院 彩…やっぱりあの子…。」
と独り言をぼやいてた。
何を言っているのかよく分からないけど
僕はそんな彼女の肩を軽く叩いた。