おおかみ男の娘
椿、高校デビューする
【嬉龍side】
「っく……。酷い…。僕が何をしたって言うんだ。」
夕陽が綺麗に僕の歩く道を導いていく。
奴らは僕にこう言うんだ。
『このチビが!!お前なんかゴミ以下だ!!』
ってさ…。
僕は思わず顔を伏せて涙を拭った。
「男がいじめられて泣いてるなんて情けない…」
僕が顔をパチンと叩いて上げた時だった。
ヒラヒラと1枚の桜の花びらが
おでこに引っ付いてきた。
「あれ…。ここって……?」
気付けば回りは芝桜が一面に広がる花畑。
そして、僕は奥の方に大きな
桜の木があるのに気がついた。
「こんなところに桜なんてあったんだ。」
僕は桜の木に近づいて優しく触れた。
すると桜がざわざわと揺れ動いて
大きな光を放った。
「うわぁっ!!」
僕は思わず目を腕で塞いだ。
そして光が収まったときに僕は
もう一度目を見開いた。