おおかみ男の娘
また、嘘の笑顔を見せるんだ。
彼に私の計画を知られてはいけないから。
「本当に…?」
「うん。ごめんね、本当に何でもないの…。」
「そっか…。」
少しニコッと笑う笑顔が素敵な嬉龍くん。
私も彼に笑い返したその時だった!!
息を切らした女の影が嬉龍くんの後ろ
から見えた。
「………見つけた!!狼の女…!!」
しまった…見つかった!!
桐生院彩だ!!
こちらに向かって桐生院 彩は歩いてくる。
「嬉龍くん、行こっ!!」
「えっ…?又!?」
「来たの!!あいつが来たーっ!!」
そう言って叫んだが嬉龍くんは不思議そうに
首をかしげて後ろを振り返り、
「……来たって桐生院さんの事?」
と落ち着いた様子で私を見つめる。
私にとってはあの女は厄介だ。
私は嬉龍くんの耳元でコッソリ、
「彩ちゃんは、私と嬉龍くんが仲が良いのが気にくわなくて私の後を追ってるの。」
と言った。嬉龍くんは少し頷いて
「僕に任せて!!」
と笑った。