おおかみ男の娘
「勘違いってナニを~?あははは~」
「……うん。やっぱなんでもないよ。
勘違いしてる方が嬉龍くん幸せそうだし…。」
桐生院さんが最後にボソッと呟いた。
何言ったのか分からなかったけどまぁいっか!
「でも、嬉龍くんはおかしいと思わないわけ!?」
「………何が!?」
「桃井椿よ…。明らかにおかしいでしょ?
あの女は早いうちに潰しておかないと…」
そう言う桐生院さんの嫌そうな表情は
今までに見たことのないものだった。
椿ちゃんが変って…思いもしなかった。
彼女は普通に笑顔が可愛い女の子だと…
美人な女の子だと思ってたから…。
「嬉龍くん…あなたやっぱバカね。」
「…バカじゃないよ。
僕はただ椿ちゃんが好きなだけだよ…。」
「……そっか。」
そう言って桐生院さんは前に向き直した。
そして授業は何とか終わった。
僕はふわぁ…とあくびをする。
すると嫌そうな顔をした椿ちゃんが
僕の机へと迫ってきていた。