おおかみ男の娘
「え~?何か言った?つ・ば・き・ちゃん!?」
健先輩や、回りの奴らは皆、嬉龍くんに
平気でこんなことして笑ってるの!?
あり得ないっ!!
「あんたら、全員食ってやる!!」
「……え!?」
私は自分の狼の耳を立てて牙をつきだし、
ギッと奴らを睨み付けた。
「覚悟しろっ!バカな人間どもめっ!」
「「「うわぁぁぁぁあ…っ!!」」」
そんな声が旧校舎から聞こえてくる
なんて誰も思いやしないだろう。
誰も聞こえていないだろう…。
勘がいいあの女以外は…。
ここに来たときに旧校舎から
桐生院彩の臭いがしていたんだ。
きっとあの女もここに来たんだろう…。
ただ、私の元へと来なかったのには理由が
あると思う。
あの女は私の敵だから…。
そして、そんなことを思いつつ、嬉龍くんを保健
室へと運び、すっかり眠りについてしまった。