おおかみ男の娘
「嬉龍くん…又明日ね。さようなら。」
「椿…ちゃん…。」
私は嬉龍くんから離れて走った。
何の意味もなく走った。
今になって自分の犯した罪に
少しづつ気づき始めていた。
母さん…父さん。
「この桜はいつまでたっても散らない千年桜…。選ばれた者にしか呪いを解けない。」
私は嬉龍くんと初めてであった芝桜畑に
やってきて、千年桜の木にしがみついた。
「父さん…私、狼になりたいんです。」
私は知らぬ間に涙をひとつ流していた。