おおかみ男の娘

椿、狼デビューする


      【嬉龍side】



昨日は一体何があったのだろうか…。


結局何も思い出せない。



気を失ってしまった僕を椿ちゃんが

救いだしてくれたのは分かったけれど…。



あの後、健先輩達が行方不明に

なったのは何でなのかよく分からない。



それに今日の椿ちゃん…元気ないな。

やっぱり僕のせいか…。



「椿ちゃん、何を考えてるのかな…。」



椿ちゃんは珍しく授業中、ボーっとしている。



「ねぇ…嬉龍くん…。」


「……うん?」


「私、ここに居ちゃいけないんだ。貴方と会ったのも何かの悪夢かもしれない。」



椿ちゃんは僕の方を一度も見ずに


悲しそうに言った。



僕にはよく分からない事だらけで彼女の

気持ちにはなれない。


だけど、



「椿ちゃん、君がそう思っていても僕にとって君は居なくてはならない存在だ。」



僕をいつもいつも助けてくれる…

救いだしてくれるのは椿ちゃんだから。
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