おおかみ男の娘
そんな事を思っているとあっという間に
―――キーンコーンカーンコーン
というチャイムの音が聞こえて、
授業が終わった。
あの桜はまだ咲き続けているのだろうか。
季節はもう入れ変わろうとしている。
緑の新緑が生い茂ってきた近頃。
「おーい!!嬉龍くん!」
「ん?」
クラスの皆の呼ぶ声に反応する。
僕は席から立ち上がって皆のいる廊下へ行った
「どうしたの…?皆集まって…?」
「椿ちゃんだよ!!お前、さては何かしたか!?」
「いや…別に。」
本当は最低な事をしたって分かってる。
椿ちゃんが暗いのも僕のせいだって。
でもそれは僕が解決しないと意味がない。
皆を巻き込む訳にはいかない。
「皆、椿ちゃんは大丈夫だよ。
きっと明日になれば元気になる。」
そう言う僕の頬から何故か涙が溢れていた。