おおかみ男の娘

「えと…気づいたらここにきてて…。」


「そうなの…私は椿。貴方は?」


「ぼっ…僕は倉田嬉龍です…。」


「嬉龍くん…ありがとう。」



椿と言った彼女は小さく微笑んだ。


あれ…?



そういえばさっきまで頭についていた、

猫耳みたいなのが無くなってる……。


まぁいっか…。



「ねぇ…ここはどこなの?」


そう言いながら彼女は胸に刺さった矢を抜いた


痛そうだけどあまり苦しむ様子も

なかったから僕は気にせず話をした。



「芝桜の花畑かな…?」


「違う。そうじゃなくって…」



えっ…?違うの!?

じゃあ何だろう…。


「ごめん…じゃあ質問を変える。今はいつなの?」


「今は僕が下校してた時間だし夕方だね。」


「………ちゃんと答えてよ。」


「えっ…?」


意味が分からない。どうしよう…。



「えっ…じゃあ、沢山人間がいる所、知らない?」



ん…?人間?

椿ちゃんも人間じゃ…?


ちょっと変な子だな…。



「えと…僕が通ってる桜ノ高校なら…。」


「桜ノ高校ね!!じゃあ又ね。」


「えっ…あっ…うん。」



椿ちゃんは見えない早さで行ってしまった。


僕は少し、不思議な気分で家に帰っていった。
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