おおかみ男の娘

すると椿ちゃんは教室に最後まで

残っていた僕の方をちらっと見て


「どういう事?」


と椿ちゃんは言った。


「皆が君がこの高校に入って来た事を
お祝いするんだよ。だから君が主役だ。」


って言っても僕も<新入生歓迎祝い>

なんて今、初めて知ったんだけどね…。


「じゃあ何しても許されるよね…!?」


椿ちゃんが何かを小声で言った。

僕にはよく聞こえなかった。


でも別にいっかと思い、

僕達は学校を出て歩き出した。



「今日はどの部活もノー部活だったよね。」


椿ちゃんがちょっとホッとしたような


顔をした。何か美術部内であったの


だろうか。僕の知らないところで…


そんなことをまた考えて僕は


「うん。そうだね!!
だから皆、今日計画したんだ!!」


何て口に出してしまった。

椿ちゃんが僕を見て不思議な顔をした。


「あっ…ごめん。こっちの話だよ。」


「そっか…。」


危ない危ない…。

バレるところだった~。


と、僕が少しホッとしていると

椿ちゃんは……


「行くのって恵梨ちゃんの家だよね?」


と言って歩く足を止めた。
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