おおかみ男の娘

そう言って僕は椿ちゃんの前から

退かなかった。すると困ったように

桐生院さんは弓を振り落とした。


「私が倉田くんを打ってもなんの
意味も価値も、何の為にもならないわ。」


「だけどこうなったのは僕のせいだ。
椿ちゃんは悪くない!!」


僕がそう言った途端、椿ちゃんは

僕の前に立って大きく両手を開いた。


「打てるものなら打ちなさいよ!!」


椿ちゃんは今、どんな気持ちで

僕の前にたっているのだろう…。


桐生院さんが弓をまた構えた。そして


「封神・牙息発動(バルバロス・バレイン)!!!!!」


と呪文のような事を言って矢を

放ったんだ。椿ちゃんに向かって…。


「やめろぉぉぉ――――っ!!」


僕は椿ちゃんの前に走り出ていった。
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