おおかみ男の娘
彼が生きていた。
千年桜が私の願いを
叶えてくれたのかもしれない…。
「どう…して…君は…僕を……食…べな……かっ…たの……?」
そう言われて私はハッとした。
そして、私は嬉龍くんに近づいて
そっとキスをした。
「………椿…ちゃん…」
嬉龍くんの悲しげな顔が目に写る。
本当は好きだったよ…ずっと…。
初めてあったあの日から…。
「まって…椿…ちゃん…。」
私は嬉龍くんの声に耳を傾けずに
又、背中を向けて遠い場所へと行くのだ。
誰も知らない場所へ………。
誰も傷つけない、誰も傷つかない。
私が1人息絶えて誰も思い出せなくなる
ほど本能に目覚められる場所を求めて…。