おおかみ男の娘
君が苦しい時は
【嬉龍side】
君が今苦しんでいるなら僕も
その苦しみを分かってあげたいんだ。
「どこへ行ったんだ…椿ちゃん。」
僕は動かなくなってきている足を必死に
動かして走った。
椿ちゃん…僕は君にまだ
伝えられていないことがあるんだ!!
ピンクの桜がフワリと揺れる音がした。
そしてそこに椿ちゃんの笑顔が見えた。
ああ…ついに幻覚まで見えるように
なってしまったのか…。
「椿ちゃん、僕は…君が好きだったんだ…。だから僕が死んだら僕の事を食べてほしい。君の中で生き続けられるように…。」
僕の足もついに立っていられなくなり
その場で倒れてしまった。
こんな季節に咲くはずの無い桜が
幸せそうに揺れていた。