冬が、きた。
「……慎くん……遅いなあ……」
私はもそもそとこたつに潜り込みながら、壁に掛けられた時計を見上げた。
ちょうど、午後10時を回ったところだ。
……こんなに遅くまで、大変だなあ……。
ふう、とため息をついて顔を上げると、カーテンが閉じ切っておらず、隙間から窓が見えた。
その窓に付いた水滴を見れば、外の寒さを嫌でも想像させられる。
つうっと窓を伝う水滴ごしに見える外の暗さに、少しひやりとした。
カーテンを今度はしっかりと閉めて、私はさっきよりももっと深くこたつに潜り込む。
………ひとりぼっちの夜は、どれだけ暖かくしても、寒さは無くならない。