冬が、きた。
慎くんに手を引かれて図書館を出たところで、私は立ち止まった。
「……雪音?どうしたの?歩けない?」
すぐに慎くんは私の背に手を回して、顔を覗き込む。
「……だめだよ」
私は慎くんの胸を、上手く力の入らない手で押した。
「……私、こんなんじゃ、何も出来ないもん。ご飯も作れないし……。慎くんの、邪魔になる……」
「え?何言ってるの?飯なんていいから、雪音は休んでて……」
「迷惑かけたくないの!」
思わず、大きな声を上げてしまった。
少しひるみながらも、言葉を続ける。
「慎くんは、部活で大変だから………私は、それを少しでも楽にしてあげたいって、思ってた……!……でも、私がいると、迷惑でしょう?……ちゃんと家事もできないし、ふらふらして心配かけちゃうし……!」
「ちょっと、雪音、落ち着いて……」
「……私に黙って、バイクでどこに行ってるの?」
「……!?」
慎くんは目を見開いた。
「………な、んで……」