冬が、きた。
慎くんが固まっているのを見て、私はだんだん冷静になった。
「あ…………」
思わず手で口をふさぐ。
しまった。
私、なんてことを………。
でも、思っていることを全て話してしまいたいと思った。
今言わなかったら、きっと流れていって、気まずいままになっちゃう。
「………慎くんが隠し事してるって知って、ショックだったの。慎くんにも、事情があるんだと思うけど………。正直、今は慎くんの言うこと、あんまり、信じられないと思う………」
言いながら、うつむいてしまう。
涙が滲んできた。
「雪音……」
慎くんが呟く。
最低だ、私。
慎くんの役に立つどころか、こんなに嫌な思いまでさせて。
「……ごめん、私、今おかしいから……ちょっと、落ち着きたい」
「え……」
「……落ち着いて、慎くんと一緒にいられるようになるまで、少しだけ、距離を置きたいの。………良い?」
そう言って顔を上げると、慎くんは、どこか痛そうな、切なそうな顔で、私を見ていた。
小さな声で、ぽつりと聞く。
「……帰って、来てくれるの?」
…………それは………。
「……………」
……………分からなかった。
ただ、涙がつうっと流れた。
慎くんは、私に、手をのばしかけて………。
………唇を噛んで、その手を引いた。
「…………分かった。待ってる」
そう言って、私の横を通り過ぎ、校舎の方へ歩いて行った。