冬が、きた。
さむいけど、あったかい





「……最近の雪音って、なんか、抜け殻みたいじゃない?」


サークルの活動後、体育館の壁にもたれて座り、身支度を整えていた私の横に、サークルの友人が座りながら言った。


「えっ……?」


私はきょとんとして、彼女の顔を見つめた。


すると彼女はバスケのボールを手の中でくるくると弄びながら、ため息をついた。


「あんたねえ、誰かと話すときは頑張ってるけど、一人のときは本当に、魂抜けちゃったみたいになってんの」


「……え、そんなこと」


「そんなことあるの。……あの子心配してたよ。『私が雪音の彼氏のこと喋った時からおかしいの』って。……彼氏となんかあった?」


「………………」


思わず固まってしまった。


……さすがに、女同士だと、こういう感覚も鋭い。


「………あ、えっと………」


何と返せばいいか分からなくて、うろたえていると、


「……言いたくないなら、無理には聞かないけど」


友人はそう言って、ふい、と私から顔を背けた。




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