冬が、きた。
「あーあ、もうちょっとだったのになあ。10時までは起きてたんだけど……」
「そんなの、気にしなくていいのに。眠いの我慢して待っててもらうより、先に寝てもらった方が、気が楽だもん」
「そうなの?」
「うん。……でも、こたつで寝るのは、頂けないなあ。風邪ひいたら大変だし」
「う……。まあでも、そうだね。慎くんは本番が近いから、私の風邪がうつったらだめだもんね」
「僕は丈夫だから風邪なんか引かないよ。でも、雪音が元気でいてくれないと、いやだなあ」
「はいはーい!じゃ、約束しまーす」
「ん、なあに?」
「私はもうこたつで寝ません!
寝る時はお布団に行きまーす」
選手宣誓をするように、右手を挙げて宣言すると。
「はい、合格」
慎くんはにっこり笑って頷いてくれた。