冬が、きた。





私がそう言うと、慎くんは私を見つめ返した。


『……雪音に、クリスマスコンサートに来て欲しい。もし、嫌でも……雪音に、見て欲しいんだ』


「…………だけど、私」


『お願い……』


私は唇をぎゅっと引き結んだ。


……どうしよう。


しかし、ためらう気持ちもあったが、慎くんが今まで頑張って作り上げたものを、見たいと思った。


「………分かった。……行く」


『本当に?』


慎くんはくしゃっと笑った。


………その顔を見て、切なくなった。


涙がじわじわ出てくる。


『……24日の18時半開場で、19時開演だからね。場所は分かる?いつものところなんだけど』


「……うん……」


……声が震えた。


『…………雪音?大丈夫?』


「………ごめん……」


私が謝ると、慎くんはすぐに寂しそうな表情になってしまった。


『……やっぱり駄目だ、僕。
雪音を謝らせて、泣かせてばっかりで……』


……違う、それは、私が勝手に。


答えようとしても、声が出ない。




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