冬が、きた。
すると。
「あ、あれ、野々山くんじゃない?」
「えっ、どれ?」
「ほらあれ。金ぴかの、何ていう楽器だっけ、えっと……」
「あ、もしかして、あれ?」
「そう!右から2番目の……」
プログラムの、演奏者の名前のページを見ると、野々山くんは、アルトサックスのパートだった。
……野々山くん、吹奏楽やってたんだ……。
私は、じっと野々山くんを見つめた。
…………かっこいい………。
私はその後も、気づけば舞台の上の野々山くんを目で追っていたり、サックスを吹く横顔に見とれたりしていた。