猫系彼氏。

2. 朝食








朝。
5時30分。

けたたましい目覚まし時計を止めて、もぞもぞと起き上がる。
ベッドから降りて、制服に着替える。
あたしはこの学校が、あんまり好きじゃなかったりする。
だって成績良くないし。


「おはようございま……」


階段を下りてキッチンのドアを開けると、いい匂いが。
それから、耳と尻尾がある変な人が、黒いエプロンを着て(全身真っ黒だったからエプロンがわかりにくいけど)、料理をしていた。
それが猫耳だ、とわかった瞬間、寒気がした。


「ダレ……?」

「俺ですよ。山猫です」

「ああ、……変な人ね」

「その言い方酷いですね」


頭がはっきりしてきて、やっと理解した。
あたしは昨日から、この猫耳尻尾男と生活してる。


「ご飯、キャットフードじゃないですよね」

「まさか。ドッグフードの方が美味しいですよ」


皮肉を言ったけど皮肉で返された。
掴みどころがないし、むかつく。


「今日の朝食はフレンチトーストです」


とまあ、どっかの漫画みたいな執事っぷりを発揮してる。
嫌味なところもそっくり。


「…………おいしい」


食べてみると、……確かに美味しい。
あたしが作ったものの何十倍。
センスあるなあ。
見上げると、ミコトさんは猫のように笑った。


「よかったです」


と言って。







朝食を食べ終わると、鞄に弁当を入れて、家を出る。
玄関で、ミコトさんは口元だけで笑を作ると、


「傘は持って行ってますか?」


と聞いた。
今日の天気予報は晴れだったから持って行ってない。
折りたたみ傘は学校に置いてるけど。


「折りたたみは学校にありますけど」

「それならいいんです」


それだけを言うと、キッチンに姿を消した。
何で傘のことを聞いたんだろう?






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