玲瓏
第一章
「きゃー!」
耳をつんざくような悲鳴。
さっきまで学校だったわたしは家へ帰る途中だった。
びっくりして声のした方向を見る。
最近ニュースでやたら通り魔が出るときく。
被害者は女性ばかりで、全員血を抜き取られている…。
首すじに噛み跡があり、それはまるでヴァンパイアを連想させるような…。
助けに行こう、と思い声の元へ走る。
足が震えてるのがよくわかる。
「いやっ…誰か、誰か助けてぇっ!!」
同じ叫び声がきこえる。
走る速度をあげる。
きっとこの曲がり角を曲がったところにーーー。
「え……?」
角を曲がると、そこには首すじから血を流した女性が一人ぐったりと倒れていて、そのそばには3人の男ともう一人倒れている男。
明るい金髪、黒髪、真っ黒なパーカーのフード…。
3人の男がわたしの方にいっせいに向く。
状況が理解できず声が出ない。
「あれ?
見られちゃった…。」
明るい金髪の一人がそういうと、残りの2人もわたしをジッと見る。
「あ、あなたたちは…?」
「記憶、消さなきゃね。」
わたしの言葉はきこえていないように、3人で話している。
しばらくすると明るい金髪が近づいてくる。
そして、いきなりみぞおちを殴られる。
「ごめんね。」
最後にきこえたのは、その一言。
わたしはすぐに意識を失った…。