「遺言」short love story
何枚もの便せんに書かれた舞の文字。


これを書いた時、舞は確かに生きていた。


手が震えて、手紙に落とした涙で文字を滲ませてしまう。


とっさに、これ以上汚さないよう手紙を守った。


「…う…うぐっ…」


固く閉じた口から漏れる声を、息子達に気付かれないように手で塞ぐ。


「うっ…ううっ…」


< 28 / 36 >

この作品をシェア

pagetop