「遺言」short love story
「俺の、舞が…。俺の、大切な舞が…」


この瞳も唇も頬も全て、俺の大切な宝物なんだ。


「こんなに傷付いて…。痛かったか…?苦しかったか?怖かったか?」


俺はそっと、わなわなと震える手で、舞の頬に触れた。


「どうして俺を置いていくんだ?俺より先に死なないって、俺を看取ってくれるって、お前言ったじゃないか」


柔らかかった頬が、冷たく固い。


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