恋……スル?-小沢 圭治編-
「あっいえ!えぇと…!
こ、この本が気になってちょっと…!」


「本?」



しどろもどろで適当に本を指差すと、圭治さんはカップをテーブルに置いてこちらに向かってくる。


指をさしたのは私の頭の上の方にあるデザイン系の資料。



「これか?」



──うわ…!
もしかして私、墓穴掘った?


圭治さんが私の背後から手を伸ばして本を取ろうとするもんだから、包み込まれるような感覚にドキッとする。


本棚と圭治さんに挟まれて、ドキドキしながら身動き一つ出来ずに固まっていると──。



「…本当にこれが気になったのか?」



意地悪な笑みを浮かべた圭治さんが、私の耳元で囁いた。


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