恋……スル?-小沢 圭治編-
案の定、専務は眉間にシワを寄せてギロリと睨みつける。

それすらも美しいから余計に怖い。



「そりゃ時間のある時の話だ。のんびりして遅れられたら困るのは俺達なんだよ」



抑揚は抑えてはいるものの、最高に機嫌が悪いのはハッキリわかる。

ここでキレられたらこのカフェお客さん来なくなっちゃうかも……。


危機感を感じた私はなんとかコーヒーを喉に流し込む。



「だいたいな、店員のアンタがコイツに無駄口叩くから…」


「あー美味しかった!!
ささっ、行きましょう専務!」


「あっ、心晴ちゃん…!」


「ゴメンね、朝陽くん!またね、ご馳走さま!!」



私は代金をテーブルに置き、専務の背中を押して慌ただしく店を出た。


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