恋……スル?-小沢 圭治編-
自覚すると急激にドキドキしてくる。


……けれど、今こうして二人でいるのは、ただの専務の気まぐれでしかないはず。

変な期待なんかしちゃダメだ。



浮いたり沈んだり、私の気持ちは忙しい。


かなり無意識にため息をつくと、急に元気のなくなった私に専務が気付いたようだ。


トントンと指先で軽くテーブルを叩き、私の顔を覗き込むように少し首をかしげる。



「…梅津?どうかし──」


「あれ、あの時のお姉さん?」



専務の言葉尻に、なんとも軽い声が被さる。


その声は私の右上から聞こえ、反射的に顔を上げると若い男の子が私をじっと見つめていた。


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