恋……スル?-小沢 圭治編-
一年前、聡と見に行った映画のチケットの半券──。


今これを見てもあまり胸が痛まなくなったのは、やっぱり専務に心が動いている証拠だろうか。


聡は……今どうしてる?



半券を見ながらもう遠い存在になってしまった彼に思いを馳せていると、不意に専務が口を開く。



「…何だ?それ」


「あ、ちょっと前に見た映画の半券です。なんか捨てられなくて…」


「ふーん…男との思い出でもあるとか?」



──ドキン…!


まさか言い当てられるとは思わず、驚いた私は否定もせずに専務の横顔を見つめていた。


専務は前を見据えながら、またあの冷たい笑みを浮かべる。


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