恋……スル?-小沢 圭治編-
それでも言葉が出ない私に、専務は人形のような笑みを崩さずに言う。



「別にそれが悪いと言ってるわけじゃない。ただ、誰とでも気楽に付き合えるその若さが羨ましいとは思うけどな。
梅津は梅津の好きなようにやったらいい」



…その言葉は、私と専務の間に一線を引かれたもののように思えた。


私と専務とでは、寄り添い合うことは出来ないんだと思い知らされたようで、酷く胸が苦しくなる。


──でも。



「……そんなんじゃありません」



いつの間にかマンションの前に着いていた静かな車の中に、私の微かに震える声が響く。



「私は…遊びで誰かと付き合ってるわけじゃありません…!」


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