恋……スル?-小沢 圭治編-
聡との唯一の思い出である半券を握りしめながら、声を搾り出す。



「ただ、恋の仕方がわからなかっただけなんです…」



何が原因かもわからないまま聡と離れてしまってから、私はどうやって恋をしたらいいのかがわからなかった。


どうやって自分に合う人を見極めたらいいのか、

どうやって心から愛せる人を見付けたらいいのか…


わからないから手探りで探していたんだ、本気の恋を。



「…私だって若くなんてない。誰とでも気楽に遊べる年じゃないです!
専務からしたら10歳も下の若くて安っぽい女かもしれないけど、私だって必死なんですよ!」



なんだか支離滅裂だ。だけど止まらなかった。


これが、恋が出来なかった私の本心なんだから。


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