恋……スル?-小沢 圭治編-
もう一度専務を見やると、彼は窓の外を見るともなく眺めているような感じだ。


専務も、ずっと恋をしてなかったの?

そして、これからもしないつもりなのだろうか。



「恋愛…したくないんですか?」


「…女は苦手なんだ。別にこれからも一人で構わない」


「じゃあどうして今日私を誘ったんですか?」



一瞬、静寂が訪れた。


ドクンドクンと鳴る私の心臓の音と、専務の小さなため息だけが聞こえる。



「……ただの気まぐれだ」



──あぁ、そう…やっぱりね…。


わかってはいたけれど、実際に本人の口から聞くとすごく心が痛かった。


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