恋……スル?-小沢 圭治編-
あーダメだなぁ…仕事に集中しなきゃ。


私は雑念を振り払うようにぶんぶんと頭を横に振り、デスクに書きかけのデザイン画を広げた。


すると、専務がお店の方に出てアトリエとを仕切る扉が閉まる直前──



「圭治!出来た?私達の指輪!」



あの明るく澄んだ声が私の耳に飛び込んできた。



……『私達の指輪』……?



振り向いた時には、無情にもドアがパタンと音を立てて閉まった後だった。

それを見つめて固まる私の耳には、大野さんの声がこだまする。



私達の指輪って……

それが意味するのはもう決まってる。



恋人か、あるいは結婚相手か

どちらにせよ、大野さんが専務の大事な人であることに違いはないんだ。


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