恋……スル?-小沢 圭治編-
ボロボロと涙を零しながら、でもそんな顔を見られたくなくて俯いたまま一気に思いの丈をぶつける私。


だから気が付かなかったんだ、
専務が近付いてくることにすら。



「最初から無理だったのに…」


「………」


「何でこんなに、好きになっちゃったんだろ……っ」




──すると突然、目の前が暗くなった。


ふわりと鼻腔をくすぐる、爽やかでセクシーで、いつの間にか大好きになっていた香り。


そして、温かくて心地好い体温と鼓動──…



ずっと遠く感じていた、しなやかで力強い専務の腕に、

私はしっかりと抱き留められていた。



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