恋……スル?-小沢 圭治編-
Chapter8‐いつかのキミ‐
唇が重なる、まさにその瞬間。
「すみませーん!」
「──っ!!??」
突然お店の方から声が聞こえてビクンと身体が跳ねる。
目を見開くと、専務が物凄く怖いカオをしてお店へ繋がる扉を睨んでいた。
──すっっかり忘れてた!!
閉店時間3分前とは言え、まだ営業中だった…!
一体誰よ、こんな時間に来るヤツはぁーっ!!??
現実に引き戻されて専務からパッと離れると、急激に恥ずかしさが襲ってくる。
涙を拭って、ゆでダコなんてもんじゃないだろう火照る顔を手で覆いつつ、
不機嫌極まりない専務に「わ、私…行ってきます…」と、おずおずと告げてドアに近付く。