恋……スル?-小沢 圭治編-
「僕は自分から誘ったり話したりすることも上手く出来なくて…
君からの連絡が途絶えても、僕は待つだけで何も出来なかったんだ」



本当にごめん…
と言って、聡は頭を下げた。


もう…見事な草食っぷりね。

でも私はそんな聡も好きだったんだ。


二人で過ごしたかけがえのない日々を思い出して、ほんの少し胸が痛む。



でも、まだこのネックレスを持っていてくれて、しかも修理までお願いしてくるってことは…

聡は、まだ私のことを──?



「梅津さん、僕──」


「聡……!」



彼が何を言おうとしたのかはわからないけれど、それより先に私が伝えなきゃいけないと思った。



「私…、好きな人が出来た」



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