恋……スル?-小沢 圭治編-
「…全然悲しくなんてありませんっ!」
だって、私はもう専務のことしか見えてないんだから。
聡との思い出は、ちゃんと心の中に仕舞っておけばそれでいい。
「…本当かよ」
「本当ですよ!専務はまだ私の言ってることが信じられないんですか!?」
私は専務の目の前にツカツカと歩み寄り、キッと彼を見上げる。
「この間車の中で言ったことも、さっき言ったことも全部本当です!
私は……専務のことが好きです」
視線が交差して、ほんの少しの静寂の後、専務はふっと口元を緩めた。
この優しい笑顔が見れると、私はすごく安心するんだ。