一人遊び転じて、君を抱く
嘆息をつきながら座れば、私の尻に敷かれたくないであろうナイフもまた消える。
地平線の彼方まで埋め尽くされたナイフだというのに、どれ一つとして、私を傷つけられないのか。
「……」
「『期待外れ』、かね」
そう言って、私の斜め上に現れたそいつは、見ずとも笑っているのだろうと予想できた。
苛つく笑顔は見ないに限るし、こいつの話は要領を得ずに長い。つまりは、相手にしたくない奴なのだが。
「君は、自慰が好きなのだね」
「……、は?」
こいつの突拍子なさは前々からだが、まさかそんな単語が出てくるとは思わず、前言撤回する羽目となった。
空中で制止する奴は、私が構ったからとより笑みを深くした。