残り5センチ
バイバイ
「…じゃぁ私先に帰るね」
ガタッと席から立ってカバンをかつぐ。
「じゃ…」
「あ、あぁ…」
二人の顔も見ずに教室から出ていった。
そして1人校舎から出て帰り道を歩いていく。
…拓海のバカ…。
バカバカバカ!
彼女ができたなんて聞いてないよ!
有紗が好きだったなんて知らないよ!
変な期待…させないでよ…。
膝から力が抜け落ちて、地面に尻をつく。
「拓海…。
もう、私の想いは本当に二度と届かないんだね…」
目から流れる涙が地面に垂れて、雨が降ったみたいな後が残る。
最後に、言いたかった。
私の想い…。
「拓海、ずっと大好きでした…」
いるはずもない、拓海に向けて、泣きながら微笑んだ。
これで…終わり。
これからは、もうただの幼なじみとして接する。
バイバイ、拓海。
バイバイ、私の…
恋…。
END