残り5センチ
「今日小テストで点数が5より下だった奴ー、放課後残って直して俺んとこに持ってこいよー」
先生はそう言って教室からでていった。
ヤバい…。
私5より下だ…。
休憩時間に入り、みんなが出歩いている中、私は小テストを見ながら青くなっていた。
「あれ、もしかして柑奈5より下なのか?」
ひょいっと後ろから私のテストを見ながら話しかけてきたのは、言うまでもない。
幼なじみの彼だった…。
「拓海…!?」
距離が近くてドキドキする。
「なんだよ、そんなに驚いて…。
それよりさ、放課後俺が教えてやろっか?」
「え!?
いいよ、別に!」
これ以上一緒にいたら私の心臓がもたない…。
「いいからいいから!
俺満点だったから、心配すんなって!」
いや、別にそこに心配してるんじゃないし…。
しかもちゃっかり満点とってるし…。
「じゃ、放課後ちゃんと残ってろよ?」
「ほ、ホントにいらないのに…」
「じゃ、またな!」
そう言って、私の話も聞こうとせず、手を振って自分の席へ帰って行ってしまった。
…はぁ。
人の気も知らないで…。
こうして私は、いやいや彼との放課後補習が決まってしまった。