残り5センチ



「えっと…。
これがこうだから、こっちはこう?」




「だから、ちげーって!
何度も同じこと言わせんなよー」




「だってわかんないんだもん…」




「たくっ。
だから、これがこうなると、これもこうなるんだよ」



「へ〜」




テストにペンを走らせて説明していく拓海。




けど私にとっては、数学というものは未知の世界なので何度説明されても意味がわからない…。




返事だけはしておいたけど…。




「…本当にわかってんのか?」




「わ、わかってる!
…つもり…」




「つもりかよ…」




さっきまで教室には数人居残りがいたが、私が遅すぎるのか、みんなすでに帰ってしまっていた。




だから残ってるのは私と拓海の二人だけ…。




言い訳になるかもしれないけど、そのせいもあってテストに集中できない…。






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